台東区上野 不忍池

弁天様を騙った 弁天詐欺

信心深い商人のもとへ、突然、美女達がやって来た。

弁天様を騙った 弁天詐欺

(話し手)講談師 神田山緑さん

神田山緑

話し手は、NHKでも講談をお話しをされている、新進気鋭の講談師、江戸の香りをたっぷりと含んだその話しっぷりは見事、真打、神田山緑さんです。

弁天様は、もともとはインドから入ってきた神様で、仏教や神道でも神様とされました。女性の神様として描かれます。財産運をもたらす神様として日本では考えられていますが、もともとは水の神様でした。そのため、弁天様を祀った神社やお寺などは、池や湖などとの縁が深いようです。 台東区上野の不忍池の真ん中にある小島にも弁天様が祀られていました。1624年~1645年の寛永年間のころ、弁天様を熱心に信仰している太兵衛という金持ちがいました。この太兵衛は、不忍池まで毎日毎日通って拝んでいましたが、ある時、ついに自分の庭に池を作り、その池に小島を浮かべ、弁天様を祀る祠を建ててしまったほどでした。 太兵衛は、自分が建てた祠で毎日毎日、弁天様に祈りを捧げていました。すると、どうしたことでしょう。ある夜になると、トントンと家の戸を叩く音が聞こえ、「お頼み申す」と誰かがやってきました。太兵衛がくぐり戸から客を確かめると、見覚えのない十人ほどの女がやってきていました。 太兵衛はおかしいなと思っていましたが、やがて――弁天様がやってきたのではないか――と思いました。 太兵衛は確認すると、女は弁天様の使いだと言い、不忍池からしばらくの間、太兵衛の屋敷の祠に引っ越したいと言ってきました。 太兵衛はとても嬉しくなって、その申し出を快く引き受けました。 弁天様の遣いを名乗る女は、今度の雨の日に引っ越してくるが、その姿を見たら必ず祟りに遭うので見ないようにしてほしいと言いました。太兵衛も承知しました。 それから5日後、雨の日がやってきました。人がやってきた屋敷内に入ってくる気配がします。しかし、太兵衛は弁天様の使いの女と交わした約束を守り、家族ともども一切に家の外には出ませんでした。 さて、一夜明けてこの信心深い太兵衛さんの身に起こったこととは。      

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