台東区花川戸 花川戸公園

鬼婆伝説

旅人に宿を与えて殺した「鬼婆」伝説

鬼婆伝説

(話し手)落語家 三遊亭遊かりさん

三遊亭遊かり

話し手は、女性噺家、三遊亭遊かりさんです。艶のある声は生まれ持った賜物。噺家になる前に経験した10年の様々な人生経験が肥しとなって、遊かりさんのお話しは、心の奥底に響きます。生まれ持ってのまさに話し家、噺家、三遊亭遊かりさんです。

浅草寺が創建された630年ころのお話です。 台東区浅草2丁目にある浅草寺の二天門から東に行くと、花川戸公園があります。ここに、姥ヶ池という池がかつてありました。ここに、世にも恐ろしい鬼婆が住んでいたのです。 630年ころの浅草周辺は、今とは比べ物にならないほどの田舎でした。この時の首都は、奈良県など近畿地方にあったので、今の東京がある場所に住む人はとても少なかったのです。 しかし、物資の輸送や人のやりとりは必要でした。そのため、日本各地を結ぶ道は作られていて、旅をする人もある程度いたのです。 ところが旅については大きな問題があったのです。それは、宿がほとんどないことでした。旅人は、野宿か寺や神社に泊めてもらうか、道の傍に住んでいる人の家に泊めてもらうかしなければなりませんでした。 当時の花川戸には、奥州(今の東北地方)に向けて作られた道がありました。しかし、花川戸周辺は寂しい荒地で、住む人もほとんどいませんでした。ただ、粗末な家に老婆とその娘の母娘が住んでいました。 旅人は、旅の途中に花川戸の近くで日が暮れるとこの家に泊めてくれるようにお願いに来ました。この家の主である老婆は、いつも旅人の願いを引き受けます。夕飯を出してもてなし、布団も敷いてあげるなど、とても優しく旅人に接するのです。 もてなされた旅人も野宿とは違い、ゆっくり休むことができるので嬉しくなります。 そして、老婆の勧めに従って、布団に入ると、旅の疲れもあってすぐに眠ってしまいます。 しかし、この老婆の優しさは表面だけのことでした。実は、この老婆は鬼婆でした。娘に手伝わせ、寝ている旅人を殺して、金や財宝を奪うことを繰り返していたのです。 娘は、母である老婆に何度も何度も非道な行いは止めるようにお願いするのですが、鬼婆は聞き入れません。 この花川戸で、何人もの人間が殺されたのかわかりませんでした。 ある日、一人の少年がこの鬼婆の家にやってきました。娘は、このような少年を殺してはいけないと言いますが、鬼婆は聞く耳を持ちません。 宿を求めてきた少年に笑顔で接し、料理を出して、布団を敷きました。鬼婆は旅の疲れをとるようにと少年に早く眠るように勧めました。少年は鬼婆の勧めに従って、布団に入って眠り始めました。 鬼婆は、少年がよくていることを確認して、いつものように少年を殺しました。 しかし、何かいつもと様子が違います。一体、鬼婆の身に何が起こったのでしょうか。 花川戸の鬼婆伝説をお楽しみください。      

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