千代田区皇居 江戸城大奥跡
江戸城内 女の世界「大奥」の秘密
女の園・大奥でくり広げられるささやかないたずらの毎日とは
(話し手)講談師 神田あおいさん
話し手はなんと女性講談師、真打・神田あおいさん。 JALの機内番組でもお話しをされた、まさに日本を代表する女性講談師です。 ハリ、ツヤともぴか一の名調子。聴いている者をグイグイと講談の世界に引き込む技はさすがです。
海の向こうのアメリカ メジャーリーグでは新人に通過儀礼としていたずらをしかける伝統があります。
これはルーキー・ヘイジングあるいはルーキー・ラギング・デーと呼ばれる恒例の行事で、これまで数々の日本人メジャーリーガーも体験してきました。
これは、ある日、ルーキーの荷物が急にロッカーから隠され、代わりに奇抜な衣装が用意されているのです。対象となったルーキー選手は、その衣装を着て自宅か遠征先の宿舎に帰らないといけないというものです。
ヤンキースの松井秀樹は、ヒョウ柄とサングラスの奇抜な衣装だったほか、レッドソックスの松坂大輔と岡島秀樹はそれぞれキャラクターの着ぐるみと海賊の衣装での移動をさせられました。
どこの世界でも新人いじりとか新人いじめというものはあるようです。
それは、江戸城の大奥でも同じでした。大奥は徳川将軍家の夫人たちが中心となって作りあげる徳川将軍のプライベート空間でした。将軍の夫人だけでなく、夫人の身の回りの世話や事務などの仕事をするのも女中と呼ばれる女性たちが行っていました
そのため、将軍とその息子以外の男性が入り込めない空間でした。
そこでは、入ったばかりの女中に対して、ルーキー・ヘイジングに当たるようないたずらや嫌がらせも行われていました。
入ったばかりの新人にとっては、大奥は非常に厳しく、緊張する毎日を送りました。橋の上げ下ろしなどの普段の動きでも作法にかなっていなければ注意されるという毎日だったそうです。そのため、慣れるまでは非常に疲れてしまうようです。そうした女中たちの楽しみは、大奥に勤める人たちが取れる一斉休暇でした。この日に限っては、江戸城の大奥から外に出られる日でした。江戸の町の散策を楽しみもよし、実家に帰るもよしという日なのです。その日を指折り数えて待っている新人の女中たちに、先輩の女中たちは親切に土産まで用意してくれたりします。さて、こうした女中たちにもたらされるいたずらとは。こうしたことを経て、新人が強くなっていくのは、どこの国でも、どの時代でも同じなのでしょうか。